明治時代は主にラッパが付いたいわゆる“蓄音機”という形でしたが、蓄音機の歴史、相対的な数からするとごく少数です。
日本の家屋では出来る限り省スペースなものが好まれる傾向にあるようですので、ラッパを外付けではなく内部に格納した形が主流だったと言えます。
ポータブル型(トランク型)は旅行など持ち運びに便利として売り出されていましたが、実際に持ち運ぶには重すぎるので、値段の手頃さ、収納のしやすさから多くの家庭で選ばれていました。
時計や家具などにも共通して言えますが、時代が新しくなるにつれデザインは簡素になり、機能に重きがおかれるようになります。大正時代に多かった家具調の蓄音機は昭和に入ると少なくなります。機械は精度が上がる一方でコストダウンが図られ、昭和10年代後半になると戦争の影響で粗末になり、形も小型化、そして最終的には製造されなくなります。